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■色とは何か |
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色は光だということです。
色は光以外の何ものでもありません。
このことに気づいたのは、かの有名な科学者ニュートン
(1643〜1727)です。
光というと、私たちは太陽光や電球の光など、無色透明なものを
思い浮かべますが、ニュートンはその無色透明な光(白色光)が、
赤や青などといった単色光の複合体であることを解明したのです。
白色光をガラスでできた三角柱のプリズムに通すと、いわゆる
七色のスペクトルに分かれるという有名な実験によって、
ニュートンは色の正体を発見しました。
そしてまたニュートンは、光自体には色がついていないことに
ついても言及したといいます。
どういうことか? たとえば、私たちは赤い光線には赤い色が
ついていると思いがちですが、実際にはそうではなく、無数に
存在する色の光(スペクトルの七色。七色といっても色と色との
間にはっきりした境界はないので色の数は無限)のうち、
赤の光のみが人間の脳(視覚)に作用するから、光自体が赤く
見えるということです。
赤い光や赤い物体(たとえばリンゴ)が存在するのではなく、
あくまでそれが人間の脳を通して「赤く見える」ということ
なのです。
そして、その単色光の複合体である光は、電磁波の一種だという
ことです。
電磁波は「電場と磁場の振動をともなった波のようなもの」と
理解してください。
つまり、電磁波という言葉からもわかるように、波打ちながら
進むエネルギーのことを指します。
光も、その電磁波の一種です。
しかし、ニュートンより後の時代の科学者マックスウェル
(1831〜1879)がそのことに気づくまでは、目に見えない
電波や紫外線などの電磁波と、目に見える光(可視光線)は
まったく別個のものであると考えられていました。
マックスウェルの発見により、平たく言えば、電磁波という
大きな括りのなかに、電波や赤外線、光(可視光線)や紫外線
などがある、ということがわかったのです。
その電磁波は素粒子からできています。色の素粒子は光子と
呼ばれています。つまり、色は電磁波としての性質を持って
いるということです。
色ルはそれ以外の性質や力はありません。色をそこから考え
直すのが先端色彩です。残念ながらこれまでの色彩体系は
そこに色の根拠を求めていませんでした。
これからの色彩は電磁波としての性質とそれが人に及ぼす
生理的(脳生理学)な刺激を応用して行く時代になりました。
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■カラーイメージチャート |
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色は電磁波であり素粒子からできています。その素粒子には
3つの性質があります。
時間、エネルギー(量)、波長(周波数)の3つですね。
この3つの性質はそれぞれ、明度、彩度、色相という色の性質を
作り出しています。
人の中で色によるイメージが生まれてくる時も、この性質が
影響していると考えられます。
最近の研究では、言葉と色とイメージの結びつきが明快になって
きました。
これらをダイアグラムにしたものがカラーイメージチャートです。
縦軸に時間、横軸にエネルギーを取りイメージと色との関連を
明らかにしています。
デザインワークで重要なのは、配色によってメッセージを送る
ということです。
このカラーイメージチャートによって、配色作業は数段アップ
します。私たちは、伝えたいことを配色を利用して、見る人に
メッセージします。
これからの配色は、ほとんどこのカラーイメージチャートに
よって行われるようになるでしょう。
●カラーイメージチャート
素粒子の性質にしたがい、縦軸に時間、横軸にエネルギーを
とると、カラーイメージの位置づけがわかりやすくなる。
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■色相環はない |
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あの色相環には根拠がない
みなさんは、赤から順次、橙、黄、黄緑・・紫と、一二色なり
二四色なりの色が円形に並べられた「色相環」をご覧になった
ことがありますか?
これまでは、色彩といえばまずこの色相環を思い出すことが
多かったと思います。
しかし、この色相環には根拠がありません。
なぜならそれは、色の性質を無視して作られたものだからです。
自然界にあのような形で色が存在していることはありません。
もっともらしく色彩の本に登場したりしていますが、
その成り立ちについて説明している本はほとんどありません。
どうしてかといえば、根拠があいまいだから、説明できないので
しょう。
色相環を考えついたのはゲーテ(1749〜1832)だと思います。
色相環は、彼が1810年に発表した『色彩論』にはじめて掲載
されているからです。
ゲーテは、赤の外側には赤紫が見え、紫の外側にも赤紫が見える
ことから、スペクトルの両側に位置する赤と紫をつなげ、環に
しました。
ところが、これはかなり強引なやり方です。なぜなら、光を
プリズムで分光して得られるスペクトルには赤紫がないからです。
どうやっても、彼が主張する赤紫を赤や紫の外側に発見すること
はできません。
そして、色相環を元に戻した色の帯を見れば一目瞭然ですが、
実際のスペクトルの色の配列とは位置が少しずれています。
こうしたことがなぜ起こるのかといえば、色相環を作る際に、
ゲーテは補色(絵具の場合は混色すると灰色になり、光の場合は
白になる二色の組み合わせのこと)の存在についても「作為」を
行ったためです。つまり、ある色の補色は、色相環ではその色の
反対側に位置させようと、と考えたわけです。
色相環では、補色同士が円の反対側にそれぞれ位置していますが、
実際のスペクトルを円にしても、ちょうど反対側にくることは
ありません。
色相環では、補色を反対色と呼んでいますが、色相環に根拠が
ないので、この言葉も存在しません。
補色とは互いに反発し合う(活性化する)色でもあります。
それを利用しているものはたくさんあります。赤い刺身のつまに
緑の葉が付けられていますが、反発し合うと生き生きした効果を
利用していることになります。
赤紫だけを特別視できない理由
くり返しますが、赤紫という色はスペクトルには存在しません。
とはいえ、自然界には存在するではないか、という意見も
あります。だから円にしても問題ないとする考え方です。
ところが、赤紫以外にも、スペクトルに存在しない色は多数
あります。たとえば、エメラルドグリーンやショッキングピンク
などがそうです。
自然界に存在しているから、色相環にしてもいいという理屈
であるなら、これらの色についてはどう説明するのでしょうか?
そもそも赤と紫では、まったく波長が異なります。それらを
安易に結びつけてしまったことは、結論としては、完全に
色=光=電磁波としての性質を無視することになりました
(もちろん、ゲーテの時代にはそこまではわかっていなかった
ので仕方ありませんが)。
強引に作られ、矛盾を含んでいる色相環は、架空のものです。
したがって、この色相環を基本にした色彩論は成立しません。
成立するはずがないのです。
このことに気づいていた人は少なくありません。ところが、
これだけ体系付けられ、色彩検定まで行われている現状では、
にわかに修正もできません。
色相環を元にしたマンセルシステムやオストワルドシステム、
そしてPCCSと言われるものは、その架空の世界だけにしか
通用しないものです。そのため、そういった色彩論では、実践的
な配色を行うことはできません。科学的な根拠が希薄だからです。
色相環を基礎にした「色立体」もまた、架空のものです。
実際にはない空間です。色立体のどこに位置づけられている色
かがわかっても、現実の色の世界での位置を表しているわけでは
ないのです。
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